HPEのThe Machineはメモリを中心にコンピューティングを再構築する

HPEの提唱する新しいコンピューティング・スタイル

HPEはメモリを中心とする新しい考え方に基づくマシンを開発していて、そのマシンはThe Machineと呼ばれています。そのプロトタイプが完成し、ベールを脱いだようです。これはThe Machineが内部における概念実証から次のフェーズへ以降したことを示します。

インターネットを通じて様々なサービスを展開する企業の多くは日々膨大なデータを生み出します。ビッグデータと言うワードが一般に知られていることから分かるように、大規模なデータを扱いたいと言う需要は高く、それは現在も伸び続けています。IoTの時代の到来によってこの傾向は更に強まるとされており、現代のコンピューターは大幅なメモリ領域の拡張を要求されています。

The Machineはメモリを中心に据えコンピューティングを再構築するようです。スーパーコンピューターは何FLOPSと言った文脈で語られることが多く、計算能力を中心に議論をされることが多いですが、The Machineでは演算資源ではなくメモリを中心にコンピューティングを考えます。

同一ファブリック上に160TBのメモリを搭載するThe Machine

世界最大級のスーパーコンピューターのメモリ容量を挙げると、TOP500の1位に君臨している中国の神威太湖之光は1,310.72 TB、同7位の日本の京は1,410.048 TBのメモリ、同4位のアメリカのSequoiaは1,572.864 TBのメモリを搭載しています。

The Machineは同一の高速ファブリック上に160 TBのメモリを搭載しており、これらの超大規模なシステムの10分の1を超えます。The Machineのような形式が一般的となる頃には、このような超大規模なシステムのメモリ容量も大幅に変わっているでしょう。

メモリを中心にして様々なプロセッサが繋がる

The Machineはメモリ容量が大きいだけでなく、文字通りメモリを中心としたアーキテクチャとなっています。

各ノードはファブリックに接続するメモリ・ボードと、ARMv8 CPUを搭載するコンピュート・ボードとに分かれます。メモリ・ボードには4TBのメモリが搭載されていて、40枚が合わさり高速ファブリックで接続される160 TBのメモリとなります。それぞれにコンピュート・ボードが繋がり、全体としては高速ファブリックで接続された巨大メモリに40のコンピュート・ボードが接続される形となります。

コンピュート・ボードにはThunder X2というCavium製のARMv8プロセッサが2基使用されるようです。このプロセッサは最大で54コア構成が可能ですが、HPC wireによるとThe Machineのプロトタイプでは32コア構成となっているようです。The Machine向けに大幅な改造が加えられたモデルと言うことでしょうか。

GPUなど特殊なコンピューティング・リソースが演算ノードに接続される場合、通常のシステムではPCI Expressなどを利用し汎用プロセッサを介して接続することになります。The Machineはファブリックにオープンなインターフェースが備わり、メモリに直接接続することが出来るようです。The Machineではメモリが中心なのです。

今後に目が離せない

今回のプロトタイプは160 TBを搭載したものでしたが、既にEBスケールを見据え理論的4096 YBまで拡張可能なようです。TB(テラ・バイト)の次がPB(ペタ・バイト)、その次がEB(エクサ・バイト)、その次がZB(ゼタ・バイト)、その次がYB(ヨタ・バイト)です。1 YBは1,000,000,000,000,000,000,000,000 Bとなります。4096 YBは現在の世界中のデジタル・データの25万倍に相当するそうです。今後The Machineはどうなっていくのでしょうか。

また、ARMアーキテクチャに基づくHPCシステムであることにも注目です。ARMv8が発表されてから、徐々にHPCシステムにおけるARMアーキテクチャの存在感が高まっています。またCaviumのプロセッサに基づくHPCシステムは、ヨーロッパのモンブラン・プロジェクトでも制作されています。CaviumのThunder Xシリーズにも目が離せません。

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ソース

https://community.hpe.com/t5/Behind-the-scenes-Labs/Making-the-mission-to-Mars-compute/ba-p/6964700#.WRs_f9-YH0p

https://www.hpcwire.com/2017/05/16/hpes-memory-centric-machine-coming-view-opens-arms-3rd-party-developers/

http://semiaccurate.com/2016/05/30/new-cores-underpin-caviums-thunder-tx2/

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