中国の膨大な内需で成長しているHPCシステムベンダー「Sugon」

  • 中国のHPC事情

ここ数年、中国のHPCは凄いスピードで伸びています。これはTOP500の一位を保持した経歴がある天河二号や神威太湖之光などのシステムからも分かりますが、裾野が広がっていることも重要な点の1つでしょう。

中国のシステムのTOP500でのランクイン数は、2015年6月時点では37システムでしたが、その数は半年毎に2015年11月に109を数え、2016年6月にはHPC大国であるアメリカを超える168、2016年11月にはアメリカと同数の171を数えました。TOP500のランキングでは、中国はシステムシェア、パフォーマンスシェア共に互角の戦いをしていますし、米国と互角の戦いをしている現状を踏まえれば、中国が世界最大級のHPC大国であることを否定出来る者は居ないでしょう。また、その急成長ぶりから言って世界で最もHPCに投資している国が中国であると言って良いです。

  • 中国と米国のTOP500にランクインしたHPCシステム数の推移
TOP500
ランキング
中国
システム数(シェア)
米国
システム数(シェア)
2015年 6月 37(7.4%) 233(46.6%)
2015年11月 109(21.8%) 199(39.8%)
2016年 6月 168(33.6%) 165(33.0%)
2016年11月 171(34.2%) 171(34.2%)
  • 中国と米国のTOP500にランクインしたHPCシステムの実パフォーマンス総計の推移
TOP500
ランキング
中国
総計PFLOPS(シェア)
米国
総計PFLOPS(シェア)
2015年 6月 50(13.7%) 161(44.5%)
2015年11月 89(21.2%) 173(41.3%)
2016年 6月 211(37.3%) 173(30.5%)
2016年11月 224(33.3%) 228(33.9%)

パフォーマンスシェアについては、中国スーパーコンピューターの二巨塔である神威シリーズや天河シリーズの影響が大きい(計6台133 PFLOPS)ので、裾野が広がっている根拠にはならないかも知れませんが、システム数が跳ね上がっていることについては十分強い根拠となるでしょう。様々な人たちが様々な目的を持ってHPCシステムに投資する素晴らしいエコシステムが形成されていることが推察出来ます。

中国の膨大な内需で成長しているHPCシステムベンダー「Sugon」

中国の代表的なHPCベンダーはLenovoとSugonで、TOP500にランクインした500システム中、それぞれ92システム、47システムを作っています。二社で合計139システムを製造し、そのうち129システムを中国向けに卸しています。中国のHPCの裾野を広げているのはこの二社であると考えて間違い無さそうです。

さて、Lenovoは元はIBMが製造していた歴史の古いノートPCブランド「Think Pad」などで有名ですので、知らない人が居ないほど有名です。しかしSugonは多くの日本人にとって馴染みの無い名前なのでは無いでしょうか。

Sugonの手掛けるTOP500にランクインする規模のHPCシステムは、全て中国向けのものとなっています。またそのTOP500における順位は最高でも79位で、100位より上にはその1システムしかランクインがありません。101位から200位までの100システムのうち6のシステムを手がけており、201位から300位までの100システムのうち8のシステムを手かげており301位から400位の100システムのうち18システム、401位から500位の100システムのうち14システムを手がけています。つまりTOP500のSugonのシステムシェアはランクが下であるほど高いのです。これほどの規模を誇るにも関わらず知られていないことも頷けます。

  • Sugonの2016年11月のTOP500ランキングの100位ごとのシステムシェア
TOP500
ランク
システム数 シェア
1〜100 1 1%
101〜200 6 6%
201〜300 8 8%
301〜400 18 18%
401〜500 14 14%

TOP500にランクインする規模と言うだけで十分大規模なシステムですが、SugonはTOP500の中では比較的小規模な、中国国内向けのHPCシステムを作っている企業であると言えます。

エクサスケールへの参戦で存在感が高まる

Sugonは中国のエクサスケールプロジェクトに名前が挙がっています。AMDによって、CPUにZenを、GPUにVEGAを採用し、HBMメモリが内蔵されるフルスペックのAPUがSugonに提供されるようです。SugonによりAPUベースの世界最大規模のHPCシステムをの制作は、GPGPUの勢力図が変わるようなインパクトを与える可能性があり、今後より注目度が高まると予想出来ます。全てはZenとVEGAの出来次第ですが、注目すべき動きであることは間違いないです。

SC16で話された内容によると、Sugonはエクサスケールを開発する際にはSugonの持つハイパーコンバージド・アーキテクチャや、自己適応型アプリケーション技術、浸漬冷却技術などが応用されたシステムを目指すようです。プロトタイプではシステムに柔軟性や効率に与える技術がテストされることがアピールされています。浸漬冷却についてはSugonは中国国内で最高の水準の技術を持っているようで、PUEは1.1以下が期待されるようです。

エクサスケールの開発によって得らる技術資源は、同社の別の製品にも応用されることが予想出来ますが、これが今後のSugonのHPCサーバー事業の発展に資するものであることは明白です。今後ますます勢力を拡大すると考えられ、中国だけでなく、世界のHPCを考える際に無視できない企業となるでしょう。

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ソース

https://www.top500.org/

http://fudzilla.com/news/processors/40489-amd-to-announce-sugon-deal

https://www.nextplatform.com/2016/07/11/chinas-triple-play-pre-exascale-systems/

http://www.prnewswire.com/news-releases/sc16-sugon-announces-the-roadmap-for-exascale-computing-300363142.html

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