ベンチマークテストHPCGで日本の京がトップに返り咲く

HPCGで首位を奪還した京

日本の京がHPCGという疎行列や偏微分方程式を解く際に使われる共役勾配法と言う手法の性能を表すベンチマークで、中国の天河二号を抜いて首位に返り咲きました。日本人として誇りたいニュースですね。

この結果が何を表すかを分析する前に、まずは2016年の6月のランキングと11月のランキングのTOP3をそれぞれみておきましょう。

  • 6月
    1. 中国 – 天河二号 – 580.0TFLOPS

    2. 日本 – 京 – 554.4TFLOPS

    3. 中国 – 神威太湖之光 – 371.2TFLOPS

  • 11月

    1. 日本 – 京 – 602.7TFLOPS

    2. 中国 – 天河二号 – 580.0TFLOPS

    3. 東大 – Oakforest-PACS – 385.5TFLOPS

HPCG Benchmark

HPCGとTOP500

先日発表されたTOP500はLINPACKというベンチマークを採用していますが、これは馬力だけを測ると言っても過言では無いベンチマークです。ソフトウエア工学の初期の初期に使われていた大規模行列演算を解くプログラムを解かせるというベンチマークで、スーパーコンピューターの現状にそぐわないと言う評があります。

一方HPCGは疎行列や偏微分方程式

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2016年11月のTOP500が発表されました、日本の京は7位に後退

HPCGでは600TFLOPS程度がスコアがトップと言う水準となっています。恐らく共役勾配法を使う本番のプログラムでもこれ以上の速度は出ず、理論性能に対しての効率は0.数%から5%と言ったところです。10倍や100倍程度の理論演算性能の差はそのシステムの出来の良さで十分に埋まると言うことです。

HPCGでの京の実効効率の高さはブッチギリの5.3%です。対してTOP500 1位の神威太湖之光は0.3%というとても低い値です。実に18倍の効率の差があります。複雑なプログラムを走らせる場合は簡単に20倍以上にまで開いて来るでしょう。神威太湖之光はHPCGでは東大のOakforest-PACSにも抜かれています。スーパーコンピューターにも得手不得手があるのです。

HPCGで幅を利かせるXeon Phi

どうやらXeon PhiはHPCGにおいてきちんと性能の出るアクセラレーターのようです。TOP3にも第一世代Phiを搭載した天河二号と第二世代Xeon Phiを搭載したOakforest-PACSの2システムがランクインしていますし、5位にも第二世代Xeon Phiを搭載したCoriがランクインしています。

上位5システム中3システムがXeon Phiなのです。特に最新の第二世代Xeon Phi KNLをアクセラレーターとして採用したシステムは消費電力も低く、「Oakforest-PACS」は2.7MW「Cori」は3.9MWとなっています。京が12.7MW、天河二号が17.8MWを消費していることを考えると、未来のシステムの登場を感じざるを得ません。

IBMのBlueGene/Qシステムのフラッグシップマシン「Sequoia」や、nVIDIAのフラッグシップGPGPUシステム「Titan」はそれぞれ6位と7位に追いやられています。これらはそれぞれ京と同時期に出たシステムですが、HPCにおける性能では既に第一線を退いてしまったようです。

TOP500では、2位どころか7位でも良い

TOP500では2位どころか7位でも良いことを京は証明しています。それよりもネットワーク構造の最適化や、OSの並列化のしやすさを考えた設計をする方が、遥かに良いスーパーコンピューターが出来ます。事実京は登場して5年が経った今でも世界最強を争える存在です。

京で開発された効率化のノウハウはポスト京に引き継がれます。ポスト京は2022年に登場する予定のようですが、真に最強のスーパーコンピューターとなるでしょう。

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