神威太湖之光の躍進はRISCウルトラメニーコアの時代の幕を開けてしまったのか

神威のSW26010とは

神威太湖之光に使用されているプロセッサは神威というプロセッサメーカーのSW26010というプロセッサです。このプロセッサは260基という大量のRISCコアを積んだプロセッサで256基の演算コアと4基のコントロールコアで構成されているようです。演算コアはそれぞれのコアが64bit x8という最大クラスのSIMDに対応しています。あえて一言で表すとすれば、プロセッサの中に大量の演算資源が詰め込まれているメニーコアプロセッサがSW26010です。

このプロセッサはRISCプロセッサだと言われていて、SIMD命令も64bit x8の命令しか無いなど、倍精度以外に対応出来ない設計になっています。HPCにおいては確かに倍精度は重要ですが、ディープラーニングなど半精度が重要になる演算の需要が伸びる中で、倍精度のSIMDしか出来ないというのはいかがなものなんでしょうか。

この神威のSW26010を使った神威太湖之光は現在TOP500 1位に君臨しています。単精度、半精度演算において性能が出ないと言った欠点もありますが、とにかくTOP500でNo.1です。世界中を見渡しても存在感のあるスーパーコンピューターであるということが言えます。更に神威太湖之光はエコなシステムでもあります。大規模なシステムには不利とされるGreen 500でも3位にランクインしています。2016年6月のランキングで、TOP500で10位以内にランクインしているシステムで、Green 500でも10位以内にランクインしているシステムは神威太湖之光の他にありません。

4桁RISCメニーコアプロセッサ「PEZY-SC」

RISCメニーコアプロセッサは神威太湖之光の神威太湖之光だけではありません。現在日本とアメリカで一つづつ、1024コアのRISCプロセッサを積んだウルトラメニーコアプロセッサが発表されています。その2つとは、東京都千代田区のPEZY Computingが開発したPEZY-SCと、マサチューセッツ州レキシントンのAdaptevaが最近テープアウトされたEpiphany-Vです。

PEZY-SCは2014年に開発された世界で初めての4桁コアプロセッサです。PEZY-SCのカスタムプロセッサのPEZY-SCnpは理研の菖蒲と皐月というスーパーコンピューターに使われています。この2つのシステムは非常にエコなシステムで、特に菖蒲は2015年の6月から現在までの間Green 500のトップに君臨しています。PFLOPS級のスーパーコンピューターとして始めてGreen 500で1位を獲得したことでも有名です。世界最初の1024コアプロセッサPEZY-SCはとてつもないものでした。

設計思想の差はありますが、PEZY-SCはSW26010と同じで演算資源を詰め込んだプロセッサです。キャッシュのコヒーレンシをソフトウエア責任するなど、機能を潔く切り捨てる簡略化によりそれを可能としています。性能のボトルネックになりがちな帯域幅の確保は十分に行われていることから、機能を吟味し最適化する方針だと言うことが伺えます。

このような吟味を重ねたRISCプロセッサは現在躍進を続けています。Green 500の1位と2位は菖蒲と皐月で、3位は神威太湖之光なので、RISC設計のメニーコアプロセッサがGreen 500を席巻していると言えます。既にRISCメニーコアプロセッサの時代は幕を開けていると言えるでしょう。

次世代メニーコア「Epiphany-V」「PEZY-SC2」

Adaptevaが開発した最新世代のRISCメニーコアプロセッサEpiphany-Vは、同じ1024コアプロセッサでもPEZY-SCの三倍の電力効率です。PEZY-SCは理論値で倍精度25GFLOPS/Wなのに対してEpiphany-Vは75GFLOPS/Wです。ワット当たりの計算能力はTesla P100の4倍、Xeon Phi KLの5倍ある計算になります。Tesla P100と同じ300Wで計算すると倍精度で22.5TFLOPSもあるのです。世界最高の電力効率と言えるでしょう。TSMC 16nmプロセスで製造されるようです。

またPEZY-SC2の開発も進んでいるようです。当初の予定では2016年末には完成予定だったようですが、続報がない事を考えると、開発は遅れているようです。予定では4096コアのメニーコアプロセッサとなり、倍精度8.2TFLOPS、単精度16.4TFLOPSと途方もない規模のメニーコアプロセッサとなるそうです。こちらは続報が出次第、このブログでも取り上げたいと思います。

2 comments

Add a Comment

メールアドレスの入力は任意です。(公開されることはありません)