ARMアーキテクチャの流行は結果的にARM社の首を締めているのでは無いか

ARMアーキテクチャのプロセッサとは

ARMアーキテクチャのプロセッサには2種類あります。ARMの設計するCortexコアを使用するものと、そうでないものです。ARMの設計するCortexコアは当然ですがARMが知的財産権(Intellectual property rights:IP)を持ちます。チップメーカーはARM社にライセンス料を支払いその設計を使うのですが、自社で権利を持ちたいQualcomm、Apple、NVIDIA、Samsungなどは自社のプロセッサに自社で開発したコアを組み込んでいます。この流れは殆ど全てのメジャーなチップメーカーを飲み込んで居るようで、ARMの命令セットで動くARM社の設計では無いCPUが多数リリースされている現状があります。

Cavium AppliedMicroらも独自のコアを設計、サーバー用途でもARM社のコアは使われない

ARMv8はARM社がサーバー用途を意識して設計した命令セットです。同時に高性能なCortex A57/A53が発表され、A72、A73と改良されましたが、どうやらサーバー用途で使われているのはARMv8命令セットだけのようです。CaviumのThunder XやAppliedMicroのX Geneのコアはそれぞれ独自に設計されています。またQualcommのサーバー向けCPUにもCortexが使われることは無いでしょう。

また、日本のエクサスケールプロジェクトであるポスト京も、これまで改良を重ねてきたSPARCプロセッサの上にARMv8命令セットを被せるような形で設計されているようです。命令セットをより一般的なものにすることで、ソフトウエア開発の柔軟性を上げることが目的のようです。

対x86のための共同戦線がARMアーキテクチャ

ARMの命令セットは既にARM社の手を離れ、世界的な対x86戦線の要になっています。Intel作り上げたx86アーキテクチャはIBM PCの流行と共に世界のプロセッサ市場を支配し、現在も支配的な立場にいます。Qualcommを始めとするモバイルプロセッサメーカーは、モバイル市場でIntelの介入を許さない大勝利を納め、その支配は絶対的なものでは無くなってきました。ARM社がサーバー向けに設計したARMv8命令セットが発表されてから、既にサーバー市場を狙うプロセッサメーカーが多数登場しています。次の戦場はサーバー市場になるでしょう。

ファブレス企業であるARMはIntelのようには生き残れない

IntelはIBM PCの、ARMはiPhone/Androidの大流行で一挙に存在感を強めましたが、両者には決定的な違いがあります。ARM社は自社ではプロセッサを製造していないファブレス企業であると言うことです。

ARMはプロセッサを設計し、それをライセンスすることでライセンス料を貰うファブレス企業です。この事業形態は、スマートフォン市場の発展と共に、多くの企業をCPU開発事業に巻き込むきっかけとなりました。しかし現在ARMアーキテクチャのプロセッサを設計しているのはARM社だけでは無くなってきました。エンドユーザーに何かを提供しているわけでは無いARM社はブランディングのしようが無く、Intelのようには生き残れません。ARM社は自分が産んだ敵と分が悪い勝負をする羽目になっているのです。

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