ARM社にHPC関連で大きな動き、HPCシステム向けに並列化ツールを提供するAllinea Softwareを買収


Allinea Software社をARM社が買収


Allinea Softwareは世界のスーパーコンピューターの上から25台のうち、20台にシステムを納入している、HPC界では再大手と言えるソフトウエアベンダーです。負荷解析やパフォーマンスの最適化などを行います。

https://www.allinea.com

Allinea Software社のホームページには、既にnow part of ARMの文字が踊っています。


Allinea Software社は主にプログラムの並列化ツールを提供している


Allinea Software社は主にプログラムの並列化を助けるツールを提供しています。結論から言うと、並列化はHPCシステムの最大火力を引き出す際に大きなボトルネックです。

デスクトップPCはマルチコアと言えど、おおむね4コアから8コア程度のコア数しかありません。それでも並列化によってコアの能力の全てを引き出すことは難しく、1コア当たりの能力が重要となるソフトウエアも多く存在します。

HPCシステムはコア数が桁違いに多いです。中国のx86アーキテクチャHPCシステム「天河二号」は312万コアというとてつもない数となっています。

ARMアーキテクチャの1コア当たりのパフォーマンスはx86アーキテクチャよりも低いものとなっています。単一の計算に対してx86と同等のパフォーマンスを出すには、より沢山のコアで同時に計算をする必要があります。ARMプロセッサが本格的にHPC市場に参入するには、少なくとも312万よりも多くのコアが必要となるはずです。

システムが肥大化すると並列化の難易度や重要性が跳ね上がることは簡単に想像がつくかと思います。


並列化という大問題を考える


HPCGというベンチマークランキングがあります。これは実際にHPCシステムが多用している複数の演算を実行させるベンチマークで、従来より現代的かつ実践的なベンチマークだとされています。

このベンチマークランキングでは、殆どのHPCシステムの実効効率が、2%弱にまで下がります。これはHPCシステム上で単一の実用的なプログラムを実行させる際には、98%以上の演算資源が寝たままになる、ということを示します。

日本の誇るNECの地球シミュレーターは随分と古いマシンですが、HPCGにおいては10%超えと言う高い効率を叩き出し未だにランキングに居ます。また、スーパーコンピューター京も6%という高効率をマークしており、10倍以上の演算資源を積んでいる神威太古之光に大勝しています。

実用的で複雑なプログラムを多くのコアで実行するほど、高い効率を叩き出すことは難しくなります。HPCシステム実効効率は軒並み1桁%となっていますが、これは世界最高峰のエンジニアが全力で最適化をした末に勝ち取った1桁%です。とてつもなく多くのコアを持つHPCシステムにおいて、一つのプログラムでシステムを100%近く使い切るということは、ほとんど不可能であることがわかります。

汎用的なHPCシステムは沢山の人に使ってもらうことで100%に近い負荷で運転し、その演算能力を無駄にすること無く使いきります。ですので大きなシステムは無駄では無いのですが、Maxの火力で世界と渡り合うには、高い効率が出せるという要素は必須です。現代のHPCシステムはハードとソフト両面から考えなければならないものであり、ARMアーキテクチャのHPCにおけるソフトウエア資源を貯めて行く上で、Allinea Software社の買収は大きな意味を持つことになるでしょう。

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