次世代のAMDのHPCサーバー向けGPUコプロセッサはどうなるのか

RadeonでもRadeon Proでもインパクトのある製品を出した

最近のAMDは乗りに乗っています。AMD Zenは今大注目のCPUブランドとなりましたし、Radeon RX 400シリーズはVR対応などでライバルのGeforce 10シリーズと比べても競争力のある製品となりました。PS4の高性能モデルにも採用されましたしゲーミングGPUは成功と言えるでしょう。Radeon Proと改名したワークステーション向けGPUもSSGテクノロジーの採用などで8Kリアルタイム編集に対応し、とてもインパクトのあるものとなったと思います。

HPCサーバー向けGPUは迷走

AMDはHPC向けのGPUコプロセッサとしてFirePro Sシリーズをリリースしていますが、存在感が殆どありませんでした。存在感はありませんが実力はあります、FirePro S9300は理論性能が単精度で13.9TFLOPSを達成していますし、HBMを使用し、メモリ帯域はなんと1TB/sもあります。このボードの消費電力は300Wです。このようにAMDはインパクトのある数字を並べることには成功しているはずなのですが、コンセプトが致命的なのです。

まず13.9TFLOPSと言うのは単精度演算の値です。単精度演算は大量のデータに一度に同じような処理をかける演算で使われることが多いです。1TB/sの帯域を誇るメモリは一見それを強くアシストするように思えます。しかし肝心のメモリの量が8GBしか無いのです。メモリを大量に使うような演算ではCPU-GPU間のデータのやり取りが大量に発生し、それがボトルネックとなって性能は出ないでしょう。

一方もっと複雑なアルゴリズムを必要とする科学技術演算系のHPCを考えてみましょう。科学技術演算ではメモリのアクセス速度が問題になることが多いです。1TB/sもあるなら超高速な演算が可能となるように思われます。しかし肝心の倍精度演算能力が1TFLOPSにも満たないのです。科学技術演算においてこれは致命的です。AMDのHPC向けハイエンドボードは凄い数字が出ていますが、イマイチ使い所が分からないのです。

AMDに対して技術力があるのにコンセプトがなってないと言う印象は否めませんでした。特にFireProブランドは全くと言って良いほど存在感が無く、そもそも名前を知らないと言う人も多いと思います。しかし現在そんな状況は変わりました。現在AMDは全ての製品ラインでかつて無いほど明確なコンセプトを打ち出しています。CPU市場では開発資源を集中させ競争力のあるAMD Zen CPUの開発に成功しました。Radeon Proは名前のインパクトもさることながら動画編集の今が抱える問題のソリューションという明確コンセプトがあります。

次はRadeon Pro Sの番です。FirePro S9300にSSG技術が採用されディープラーニングに特化したボードが完成した、などの明確なコンセプトに基づくボードを期待しましょう。

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