AMDの最新GPU「VEGA」、NCUは本当にNextなのか

AMDの最新GPUアーキテクチャ「VEGA」

AMDは2017年前半に、最新GPUのVEGAを投入するとしています。最新GPUのVEGAはアーキテクチャが大幅に刷新され、そのコアはNext-Gen Compute Unitという新しい名前となっています。

VEGAはGPGPUに最適な設計となっています。Radeon INSTINCTと言うGPGPU向けの新ブランドを立ち上げ、MI25と言うモデルがVEGAアーキテクチャで作られることを明かしています。

Radeon INSTINCT MI25はTesla P100に勝てるか

Radeon INSTINCT MI25は、NVIDIAのGPGPU向け製品のフラッグシップTesla P100と勝負になるのでしょうか。

Radeon INSTINCT MI25のスペックはこうです。

  • Instinct MI25
    • 14nm FinFET
    • Vega 10 GPU
    • NCU (Next Compute Unit)
    • ダイサイズ 500-540mm2
    • 4096 SPコア
    • FP16 25.0 TFLOPS
    • FP32 12.5 TFLOPS
    • FP64 0.75 TFLOPS
    • VRAM 16 GB HBM2
    • バンド幅 512 GB/s
    • TDP <300W

4096SPコアを搭載し半精度の理論ピーク値は25TFLOPSになるようです。Tesla P100と同等以上の数字で、競合していく気は満々のようです。メモリのバンド幅は512GB/sにとどまり、Tesla P100の720GB/sに大きく劣ります。512GB/sは決して狭いバンド幅とは言えませんが、超大型の演算資源を使い切るにはバンド幅がネックになることもあるかも知れません。

NCUは次世代のコンピュート・ユニットか

NCUは次世代のコンピュート・ユニットでしょうか。半精度の能力が高く、AIの時代のGPUと言う印象はあります。しかしそれはTesla P100が去年実現したことであり、後追い感が否めませんが。少なくともGCNよりは近代的ですが、ネクストと言うよりはモダンと言う印象です。NCUに限らず、AMDは自分たちの技術を誇張し過ぎる傾向がある気がします。

しかしVEGAのキャッシュ機構については次世代的な方式かもしれません。

VEGAはそれぞれのパイプラインのL1キャッシュをL2キャッシュに集め、HBCCとしてメモリコントローラーを内蔵しL3キャッシュであるHBM2メモリとL2キャッシュ、メインメモリ、さらにはネットワーク上の別のメモリにまでアクセス出来るようにするようです。

AMDが推し進めるGPGPU関係のプロジェクトにROCmと言うものがあります。このプロジェクトはオープンなGPGPUコンピューティング環境を作ることを目的とするプロジェクトですが、そのプロジェクトのページには次の記述があります。

ROCm is built for scale; it supports multi-GPU computing in and out of server-node communication through RDMA. It also simplifies the stack when the driver directly incorporates RDMA peer-sync support.
https://radeonopencompute.github.io/

このようにROCmはマルチGPU環境へのとネットワーク上の別のメモリにデータを直接書き込むRDMAへの対応を謳っています。HBCCはそのためのコントローラーなのでしょう。

AMDに近年の動きには軸がきちんと見えます。CPUはAM4に統一し、開発資源を集中、フラッグシップをきちんとアピールしていく方針ですし、GPUについてもRadeonブランドへの統一も進めていますし、GPGPU市場への参入はROCmと言う具体的なコンセプトを持って進められています。ROCmではRyzenとVEGAを使った環境についてのベネフィットも謳われており、非常に戦略的と言えます。次の世代では、AMDがIntel、NVIDIAのライバルとなり得るのかもしれません。

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