GPGPUでのAMDの大逆転はあり得るか


現状は大敗、CUDAの足元にも及ばない


AMDでGPGPU環境を構築するには現状ではOpenCLを利用するしかありません。しかし、OpenCL環境の出来ですらnVIDIAのGPUに及ばないようです。nVIDIAには専用のGPGPU環境CUDAがありますが、本格的なGPGPU環境を構築するのであれば現状CUDAが最強であると言えます。CUDA以外あり得ないと言っても過言ではありません。

そのことは2016年11月のTOP500を見ても明らかです。アクセラレーターのベンダー毎のランクイン数は以下の通りになっています。

  • nVIDIA 60
    • Fermi 8
    • Kepler 50
    • Pascal 2
  • Intel 21
    • Xeon Phi 21
  • PEZY Computing 1
    • PEZY-SC 1
  • AMD 1
    • FirePro S10000 1

AMDの製品を搭載したシステムのランクイン数は1となっています。Saudi ArabiaのSANAMというHPCシステムに使用されており、288位にランクインしているようです。このシステムは演算能力の理論値が1PFLOPS程度、LINPACKベンチマーク500TFLOPS程度のシステムです。PEZY Computing社の製品を搭載した理研の菖蒲がLINPACKベンチマークで1PFLOPSを達成していますから、TOP500だけを見るとAMDはPEZY Computingよりも下だと言えます。

LINPACKベンチマークがスーパーコンピューターの性能をきちんと反映出来るベンチマークだとは思いませんが、AMDのGPUを用いた大規模なGPGPUシステムと言うのは、極めて稀だと言えるかと思います。

現状ではnVIDIAのライバルはIntelだけです。アクセラレーターのXeon Phiもそうですが、メインとなるプロセッサについても最大のシェアを誇ります。


何故この先のnVIDIAとAMDのGPGPU環境いい勝負になり得るか


これはあくまで私の見解なのですが、nVIDIAの圧勝はそう長くは続かないと見ています。AMDがnVIDIAのライバルとなる日が、そう遠く無いうちに来ると見ています。その最大の要因が、現在のAMDのCEO、Lisa su氏の手腕です。


ネオAMD

米国の会社について良く言われることなのですが、CEOが変わると企業そのものが全く別物になります。Lisa su氏がCEOの就任してからの最大の功績となる予定のCPU「Ryzen(Zen)」は2017年のQ1に発売されるとされていますが、かつてないクオリティのものが出来たとされています。

Lisa su氏の就任中にRadeon Proと言うワークステーション向けのGPUが発表され、Radeon INSTINCTというGPGPU向けのGPUも発表されました。GPU製品はRadeonブランドへの統一が進んでいます。ようやくきちんと認知されるブランディングを始めたと言う印象を受けました。マーケティングの下手くそなAMDは既に過去のものとなったと私は考えています。

何が言いたいのかと言うと、既に今のAMDは今までのAMDとは違うと言うことです。それもかなりパワーアップしていると言えます。AMDは近いうちにもう一度黄金期を迎えるので無いかと私は考えています。



ROCm

そんなAMDがGPGPU向けに取っている戦略の一つに「Radeon Open Compute(ROCm)」と呼ばれるものがあります。GPGPUに関する全てのソフトウエアをオープンコミュニティによって開発すると言うプロジェクトです。Linux向けのGPUカーネルドライバもGPL2.0ライセンスにて公開されています。

Linuxカーネルは代表的なオープンソースソフトウエアの1つです。Linuxカーネルはモノリシックカーネルと言って、一枚岩、つまりドライバとカーネルが不可分で協調して動作するカーネルです。カーネルを開発する際はドライバの詳細な仕様が必要で、当然オープンソースであることが好ましいです。ROCmの狙いは恐らくLinuxの開発者達の抱き込みで、ドライバーやGPGPU関連ソフトウエアをオープンソースとして提供する代わりにLinuxの開発者という膨大な開発リソースを利用しようと言う戦略だと思われます。

Linux系OSのTOP500におけるシェアは498システム、つまり99%です。大規模なHPCシステムはLinuxが使われるのが当たり前だと言い切れるシェアです。Linux上でのGPGPU環境の出来が良くなると言うことは、GPGPU市場での競争力が上がることを表します。Linuxカーネル開発者たちを味方に付けると言う戦略はGPGPU市場で競争する上で大きな力になるはずです。


Lisa su氏の率いるAMDはこれまでとは一味違いますし、ROCmの方向性は素晴らしいと思います。戦略的に動けるようになったAMDは今後素晴らしいことを成し遂げてくれると信じています。

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