Googleが自社のディープラーニング向けクラウドサーバーにAMD FirePro S9300x2の導入を発表、Googleは先を読む

AMDがHPC分野でまさかの大戦果を上げる

AMDのGPUのHPC分野での弱さは、前々から指摘されていました。ちょっと複雑なプログラムを投げるとすぐにエラーを吐くという評があり、AMDのGPUを汎用演算用コプロセッサとして使う人はほとんど居ませんでした。クラウドコンピューティングは需要に応じて計算資源を提供するので、GPGPUサーバーと言えば大抵がnVIDIA Teslaを採用したサーバーでした。

しかしGoogleはAMD製のHPC向けGPU FirePro S9300x2を採用したディープラーニング向けサーバーをリリースすると発表しました。これはまさかの大戦果と言えるでしょう。

クラウドコンピューティング全体で言えば、AMDは先日AliCloudでも戦果を上げました。

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AliCloudが採用したAMD FirePro S7150 x2とはどんなGPUか、どう使われるのか

AliCloudで採用されたFirePro S7150x2は、GPU仮想化ソリューションと言うジャンルの製品です。これは、ゲーミングサーバーなどで行われるサーバーサイドの処理を、GPUで効率良く行うことが出来ると言うものです。複数ユーザーでの同時使用時の効率を買われての導入でした。このジャンルでのnVIDIAの競合製品はGRIDというブランドラインです。

今回Googleに導入されるのはFirePro S9300x2です。モデルナンバーからは分かりづらいですが、こちらはHPC向けのラインです。nVIDIAのTeslaと競合します。AliCloudでの戦果はGPU仮想化ソリューションと言うnVIDIAが力を入れていないジャンルでの戦果でしたが、Googleのディープラーニング向けサーバーへの採用は、nVIDIAが全力で開発をしているTeslaと競合するHPC分野での戦果です。

GoogleはAMDの「ROCm」に期待している

GoogleはなぜAMDのGPUでGPGPUサーバーを作るのでしょうか。少なくとも現在では需要がありませんが、Googleは先の先を見てこの導入を決めたのだと思います。

AMDは今年から、ROCmというCUDAに対抗するコンピューティングプラットフォームプロジェクトを立ち上げました。既にLinux向けのAMD GPUドライバ「AMDGPU PRO」はオープンソース化され、ROCm1.3で、CのコンパイラであるClangなどでも採用されているLLVMへの対応も決まりました。この対応によってROCmがCUDAに対抗出来るプラットフォームとなる可能性は飛躍的に高まったかと思います。

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また、ROCmはオープンなプラットフォームなので、例えばOpenPOWERやARMとのコラボレーションが十分にあり得ます。新設計のプロセッサが乱立しているこの時代で、オープンであるということは無限の可能性を開いてくれるのです。

GoogleはAndroidやChromeをオープンソースプロジェクトとして開発してきました。またGoogleはIBMが主導するOpenPOWER Foundationの創設メンバーでもあり、「オープン」というIT界のバズワードの先駆け的な存在だと言えます。GoogleがROCmがオープンなプラットフォームであることを高く評価している、と分析するのが妥当かと思います。

AMD ROCmは加速する

このニュースはAMDのROCmの加速を意味しています。AMD GPUのドライバに不具合を見つければ、Googleのエンジニアはそれを修正するでしょうし、Linuxのシステムとの兼ね合いが起こすエラーを見つければ、修正するでしょう。Googleのエンジニアは実質ROCmの開発に参加するのです。

GoogleがS9300x2を採用するということは、実はかなりのビッグニュースで、AMDのHPC向けGPUの今後を占う大戦果です。ROCmがCUDAを喰うことは、最早夢物語では無くなったと言えるでしょう。

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