AliCloudが採用したAMD FirePro S7150 x2とはどんなGPUか、どう使われるのか

FirePro S7150のデュアルGPU版

AliCloudは中国Alibabaが運営するクラウドコンピューティングサービスです。AWSやAzureには遠く及ばないものの、かなりの規模のサーバー事業者です。

AMDがAliCloudからFirePro S7150 x2の大量受注を獲得したことが話題になっています。このGPUが一体何者なのかということをお話したいと思います。

FireProにはQuadroと競合するラインとTeslaに競合するラインがある

FireProと言えばnVidia Quadroシリーズの競合製品として知られています。最近は勢力がめっきり縮小したので知らない人も居るかも知れません。しかしFireProはHPC向けを銘打った、nVidiaのTeslaに対抗するような製品も含まれています。

それがFireProのSシリーズです。フラッグシップとなるモデルはFirePro S9300 x2で、単精度10TFLOPS、メモリ帯域1TB/sを誇る製品です。この尖った特徴から、用途によってはnVidiaのTeslaに勝る性能を発揮します。

今回のAliCloudへの導入はFirePro SシリーズがTeslaとは競合しないことを示す

今回のAliCloudの導入ですが、一つ奇妙な点があります。AliCloudは既にTesla K40というKepler世代のGPGPU方式のHPCサーバーを持っていると言うことです。nVidia製のチップの立派なHPCサーバーがあるにも関わらず、AMD製のチップのHPCサーバーを立てるのでしょうか。

この奇妙な点はFirePro S7150 x2をTeslaの競合では無く、nVidia別のサーバー向けGPUシリーズ「GRID」の競合として捉えていると仮定すれば合点が行きます。

GRIDはnVidiaのGPU仮想化ソリューションです。GPUのマルチユーザーでの利用に対してハードウエア的に対処出来ます。シングルユーザーが基本となるHPCとは違ったラインとなるわけです。最近知ったのですが、FirePro SシリーズはGPU仮想化ソリューションとしても売りだされているそうです。各社がGPGPUサーバーを導入する流れの中でAMDのFirePro Sという名前が出てきたので、AMDがHPC分野で大きく動いたと見てしまう人も多かったと思います。

GPU仮想化ソリューションで最強のAMD FirePro S7150 x2

ディープラーニングにおけるGPGPUの計算需要ばかりが取り沙汰されていますが、GPU仮想化サーバーについても需要はあります。AMD FirePro S7150ですが、最大で32ユーザーまで同時にGPUを使用出来るようで、GPU仮想化サーバーにおいては優秀なGPUのようです。大きな需要の増加が見込める中で、競合のGRIDに勝利しFirePro S7150 x2が採用されたと見れます。

FirePro S7150 x2のスペックを見ていきましょう

  • アーキテクチャ Tonga Pro GL (Radeon Rx2xxと同世代)
  • TDP 265W
  • 単精度演算能力 2×3.77TFLOPS
  • 倍精度演算能力 2x250GFLOPS
  • メモリ GDDR5 2x8GB (ECC対応)
  • メモリ帯域 2x160GB/s
  • AMDマルチユーザーテクノロジー (2×16ユーザー)
  • VMware® ESXi™ 6.0 Hypervisors対応
  • VMware® vSphere and Horizon suite of applications対応

アーキテクチャが古いですね、RX400シリーズはおろかRx300シリーズですらこのラインのGPUは出ていないようです。AMDはFireProの後継となるRadeon Proについて、AliCloudとの業務提携を結ぶそうなので、これからはきちんと力を入れていくつもりなのでしょう。

アーキテクチャが古い割には単精度の能力は優秀ですね、Tesla K10を流用しているGRID K2の4.577TFLOPSより65%も優秀です。GPU仮想化ソリューションとしては最高のスペックだと言えます。もっともPascalのGRIDが来てしまったら終わってしまう最強なのですが。

生まれ変わるRadeon Proには頑張って欲しい

AMDファンとしてはワークステーション向けもHPCもGPU仮想化も頑張って欲しいです。とにかくRadeon Proという新ブランドや今回の業務提携付きの大型契約など意欲的な姿勢が見られたというのはとても嬉しいニュースでした。AMDをこれからも応援していきましょう。

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