Huaweiの子会社HiSiliconがリリースするKirin 960で私達は最新世代のMali G71の実力を見る

確かな技術を持つ上での堅実な端末作りが魅力のHuawei

中国Huaweiは確かな技術を持つ中国IT界の老舗企業です。1987年創業していらい、ネットワークや移動通信を中心に技術力を高め、従業員17万を抱える企業にまで成長しました。モバイル関連の研究にも力を入れていて、公式サイトには次ような記述もあります。

Huawei Japan 知的財産権におけるファーウェイの取り組み

顧客志向のイノベーションを経営の主軸 とするファーウェイは、世界に23か所のR&D センターを置き、年間売上高の10%以上を 研究開発に投資しています。2011年の投 資額は売上高の11.6%、約37億6,000万 ドル(約3,008億円※)に達し、過去10年間 の投資総額は150億ドル(約1兆2,000億 円※)を超えています。これまでに世界で4万7,000件を超える特許を出願し、2011年末までに2万3,500件以上が承認されました。

同社の半導体事業が前身である子会社HiSiliconはハイエンドモバイルチップKirinをリリースしています。Kirinチップは完成度が高く、Kirin 910が2014年に出荷開始されて以来、モバイルチップの最高性能を争う位置に存在し続けています。

Kirinチップについて特筆すべきことは、CPUにARM社の設計するCortexを使っていることです。ライバル社のQualcommやSamsungがkyroやExynos M1といった自社開発のCPUへと軸足を移す中、Kirinは最新チップまでCortexとなっています。私はこの特徴はHuaweiの質実剛健な社風を良く表していると考えています。新しいチップを作って性能が上がるのであればHuaweiも独自チップを作るのでしょうが、Cortexの性能はそもそも高く、そこに開発資源を投じることによって得られるユーザー体験の変化というのは決して大きくありません。商業的なインパクトや差別化が目当てならやりたくないと言う判断なのでしょう。モバイルチップは基本的にメモリやストレージのコントローラ、モデムなどを含むSoCですので、本当にユーザーエクスペリエンスの最大化を考えるならCPU以外の部分が重要となってきます。

さて、Samsungの端末は発火事故などが度々問題視されますが、Huaweiはどうでしょうか。実はHuaweiの体質を表すニュースが最近ありました。HuaweiのGL07Sのリコール騒動です。

このリコール騒動は2016年2月の日本での発火事故に端を発しています。Huaweiは早急に原因を突き止め、一部ロットでの組み付け不良であるとの結論をまとめ、3月にはリコールに踏み切りました。この事故をどう見るかは意見が分かれるかも知れません。そもそも発火するようなものを作るなという厳しい意見もあるかも知れませんが、私は、事故に対して素早く原因究明をする企業姿勢を好意的に評価しています。少なくともSamsungのGalaxy S5が発火した時よりは誠実な対応だったでしょう。

Kirin 960

さて、Huaweiの子会社のHiSiliconは10/18日に次世代チップKirin 960をアナウンスしました。スペックを見ていきましょう。

  • CPU ARM Cortex-A73 x4(2.4GHz) + ARN Cortex-A53 x4(1.8GHz)
  • GPU ARM Mali G71 MP8 900MHz
  • メモリ LPDDR4 1800MHz
  • インタコネクト ARM CCI-550
  • モデム 4x CA 4×4 MIMO対応 LTE 12/13対応 (下り最大600Mbps)
  • ストレージ UFS2.1対応
  • DSP Hi6403

次世代のARMのフラッグシップをそのまま形にしたような製品です。CPUは高性能コアと高効率コアを切り替えて使い、電力効率の最大化を図るbig.LITTLE構成となっています。インターコネクトはARMのキャッシュ・コヒーレント・インターコネクトシリーズの最新設計のものを使っています。Mali G71 MP8は大注目のスマートフォン向けGPUです、グラフィック性能は旧世代のMali T880 MP4を使用したKirin 950の2.8倍に達するそうです。

他のコンポーネントも立派なものが揃っています。モデムは現行最速と言えますし、ストレージコントローラは規格値で1.45GB/sまで出る次世代のモバイルストレージ規格UFS2.1に対応しています。DSPとして採用されているHi6403は24bit/192KHzのハイレゾ音源に対応している他、高音質通話機能 HD Voice+などにも対応しあらゆる音の再生について高品質が約束されます。

Mali G71初搭載製品

モバイルのハイエンドGPUには大きな需要があります。動画の高解像度化はもちろん、スマートフォンのゲームコンソールとしての発展やスマートフォン向けのVR市場などはGPUの進化が大前提です。

ARMはモバイル向けGPUシリーズMaliを開発しています。次世代MaliとしてBifrostアーキテクチャのMali G71が発表されたのは今年の5月のことです。今までのプレミアムモバイルGPU T880よりもコアあたりで40%高速で20%高効率であることに加え、T880の2倍にあたる32コアまでの拡張が可能となり、大きな話題となりました。ARM社はこのGPUをモバイルのVR市場を切り開くGPUと位置づけています。

Kirin 960はそんなMali G71を最速で採用したチップであり、そのKirin 960搭載端末は11月に発売されるようです。大注目していきましょう。

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